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one emotion

±0 emotion+ emotion- emotion± emotion*
昔のん。
ベランダに出て火をつけるセブンスター。空を見たって星はないから。

セブン ・ スター
★★★★★★★

私が初めてタバコを吸ったのは、いつだったっけ?
中二の、たしか冬。
吐く息が、白くなり始めた頃だった気がする。

「ちょっといい?」
休日の午後。
自分の部屋でごろごろしていた私のところに、いきなり幼なじみのアキが訪ねてきた。
てか、まあ不法侵入?
こんなことは、小さい頃から四つ隣の家で暮らしてきた私たちの間では、日常茶飯事だったけど。
「あんたさぁ、人の家はいる時は、おじゃましますくらい言えば?」
てゆうか、オンナノコの部屋にフツーにはいってくるな。
私はソファに寝転がったまま、彼をにらんだ。
その視線を、まぁ、まぁとか、適当にかわしながら、アキはジーンズのポケットに手を突っ込んで、何かを取り出す。
たくさんの小さな星がちりばめられたパッケージ。
タバコ?
彼は、ジャーンとか言いながら、ソファの前に立った。
私は、アキの顔をにらんだまま、訊いた。
「何?」
「兄ちゃんの、パクった。」
そうゆうことは訊いてない。
アキは、寝そべっていた私をソファから起こして、隣に座ると、目の前のテーブルに、タバコの箱と、100円ライターを置いた。
seven stars、パッケージには、そう書いてある。
「ちょっと興味ない?」
「別に」
私は、ソッコーで答えた。
だって、学校でも散々身体に悪いだのなんだのと言われているのに、わざわざ手をだそうとなんて思わない。
そう言ったら、相変わらず真面目だな、とか言われた。
どういたしまして。
だいたい、アキだって今までこんなものに興味を示したことはなかったのに。
「まぁ、そう言わないで、一本どうですか?」
アキは、箱から一本、タバコを取り出して、私の顔の前に差し出した。
「いや、いいから。自分で吸いなよ。」
私は顔を背けて、それを両手で押し返す。
すると彼は、あっさりひいて、じゃあ、と言うとタバコを口に含んだ。
その横顔が、少し色っぽく見えた。
男に、ってゆうか、アキなんかに、その表現はあんまり似合わないけど。
100円ライターで、タバコの先に火をつける。
私は、その動作を目で追った。
火のついた先端が、一口吸うたびに赤く燃えて、すぐに白い灰になる。
私はそれを、ぼんやりと眺めながら、ああ、アキもお年頃なんだなぁ、とか、そんなどうでもいいことを思っていた。
六口程吸ってから、アキは机の上の、今はお香を炊くために使っているカンペンケースに、タバコを押し付けて火を消した。
「おいしい?」
すかさず訊くと、うーん、という、微妙な返事が返ってきた。
「おいしくない?」
「ま、吸ってみなよ、一回」
アキは、タバコの箱とライターを私に差し出したけど、私はそれを受け取るのを躊躇した。
だって、このアキの反応。
どう考えても、おいしいものだとは思えないんですけど?
「てゆうか、こんなん私じゃなくて、コウジとか誘えばいくない?」
アキとコウジは、同じサッカー部の友達で。
いつも二人でつるんでるんだから、私なんかよりもずっと適任だ。
そう言ったら、だって、一緒に犯罪者になるんなら、絶対お前だって思ったから!って笑顔で言われた。
誘い文句としては、最上級に甘美だった。

私はアキから、タバコの箱を受け取って、そこから一本、タバコを取り出してみた。
薄い紙にくるまれた、茶色く乾いた葉っぱ。
しげしげと眺めながら、私は、たしかタバコを食べると死ぬんじゃなかったっけ、と思った。
前に、マンガか何かで読んだことがある。
死が、私の手の中にあるのかと考えたら、少なからずわくわくした。
私たちくらいの年代は、なぜか死と性に、異様な程の興味がある。
こうやってタバコやドラッグに手をだすのも、その延長なのかもしれない。
どうでもいいけど。
それから、私はフィルターを口に含んで、息を吸いながら、タバコの先端にライターの火を近づけた。
煙が、私の中に流れ込む。

「・・・っげほっ!何これ・・・っ!!」
正直言って、タバコはひたすら不味かった。
私の健全な喉は、こんな有害物質を受け入れようとはしてくれなくて、ひどく咳き込む。
こんなものにお金を出す、世の中の人間の気が知れないと思った。
いつまでも咳き込んでる私を、かっこわりー!とアキは笑った。
「うっさい!」
それに対して、私は半泣きの目でにらむ。
彼はすでに、二本目のタバコに火をつけて、少し微妙な顔をしながらも、それを吸っていた。
私に言わせてみれば、こんなの、人間が口にしてもいいものじゃないと思う。
って言うより、平然とこんな煙を肺に送り続けているアキの味覚を疑ってしまう。
確かにコイツは、うちのママが作った、不思議な味がするグラタンを、おいしい、と言って食べる。
昔からママは、なぜかグラタンにはセロリを大量に入れて作る。
ホウレンソウならまだしも、よりによって、セロリ。
それがあまりにも不味くて、我が家では誰も手をつける人間がいなかったから。
そんな時は、電話をしてアキを呼び出すのが習慣だった。
そのほかにも、度々ママが考案する不思議なメニューを、
何も知らないまま呼び出されたアキは、いつも、おいしい、と言って食べていた。
よくよく考えると、本当にアキは、昔から変なヤツだった。
けど今は、コイツなんかのことを考えてる場合じゃない。
舌がしびれて、喉の奥がいがいがする。
口の中全体を、ものすごい濃度の毒性物質で汚染されている感じ。
多分、実際にそうなんだと思う。
唾液すら飲み込めなくて、部屋を出ると、トイレの洗面台でうがいをした。

「まだ口の中まずいしー!」
部屋に戻ってそう訴えた私を、アキは笑いながら見ていた。
なんかむかつく。
「つうか、何であんたはこんなもん吸えんの?」
私にしてみれば、それはフツーじゃなかった。
コレの不味さは尋常じゃない。
アキは、えー?とか言いながらしばらく考えて、
うち、親も兄ちゃんも吸ってっから免疫あんのかも、とかテキトーなことを言った。
そんなばかな。
そう思ったけど、私も、ふーん、って、テキトーに返事をしておいた。
でも、確かに彼の家も、服も、これと同じにおいがする。



ここまで書いて飽きた。
最近はセブンスターが吸えません。

ラッキーがクセなくてとても吸いやすい。

ほんとはこのあと、主人公のオンナノコがタバコを吸えるようになり、
アキに彼女ができ、うっかりアキを好きだった主人公は、あー、アホくさ、って思うとか、
しかしタバコはやめれないとか、なんかそんな感じの続きを考えていたようなきがする。(ミモフタモナイ)
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2006.02.21 Tue    ○  08:54
上手に生きることは得意じゃない。
別にそんなん思ってもないのに、そう言われたら
「ああー、そーだねー」と言うしかない私の弱さ。

しょうじきどうでもいいと思ってんけどね。
私とはまるでかかわりのない話だから。

ほんとは分かってるんだよな。
どうせ私はちょうどいい捌け口でしかないって。

私だったら頷いてくれるだろうから、って、そうゆう話をもちかけて。
けど後から自分が別にそう思わなくなったら、
今度は全部私に押し付けといたらいい、みたいな。

「ちゃ、私はアノコがこーゆうこと言ってたからー、
へー、そうなんだーって思ってただけでー、」って。

私はアナタタチがほしがってた言葉をいっただけなんだけどね?

まわりが作った私らしさにはいつまでたっても追いつけないし、
追いつこうともおもってない。
2006.02.21 Tue    ○  02:11